アリクイ工房

迷い犬を保護した話「小犬のまゆげ」を綴っています

シャワーを浴びてサッパリ  12月31日 (2)

うちに来たときから、「まゆげ」の臭いが気になっていた。
外犬だったら、まあしょうがないよねという程度の臭い。
でも、これまで四つ足動物を飼ったことがない我が家では、この動物臭が気になってしょうがない。
大晦日の今日、おせち料理をつくる予定の奥さんは、臭い付いたら困るから「まゆげ」にさわらないという。

しょうがねぇなあ……と、息子と一緒にペットジャグジーに行くことにした。
コインランドリーに併設する設備で、お湯を溜めて犬の体が洗える湯船状のジャグジーや、ドライヤー、敷物を洗える洗濯機などが置いてある。
中型犬ならジャグジーが30分1000円で使える。
忘れ物らしいシャンプーと、備え付けのタオル、エプロンを借りる。

額の毛を束ねてあった輪ゴムを外す。
飼い主と繋がる糸を切るような気がして躊躇するが、どうせなら顔もきれいにしてあげたい。

怯えてぶるぶる震える「まゆげ」をジャグジーの底に置いて、シャワー開始。
バタバタと逃げようとするが、いくら暴れても、彼が越えられる高さではない。
やがて大人しくなり、されるがままに洗うことができた。

かつて実家の犬を風呂場で洗ったときは、最後まで暴れ続けて大騒ぎだった。
それに比べて、「まゆげ」の大人しいこと。
あるいは茫然自失になっているのか?

お湯で濡れたら、ふさふさの毛がぺたんこに。
中身が意外にほっそりしているのが妙におかしい。
まるで別種の犬になったみたいだ。

後からやってきた客のおばちゃんと話をする。
「この小犬、迷い犬なんですよ」
「ああそうなの。このミニチュアダックスフントもね、捨て犬だったのよ」
「そうなんですか。よくなついてますね」
「最初は大変だったけどね……」
その人の家の近くに、段ボール箱に入れて置かれていたそうだ。
乳首に大きな腫瘍があった。
治療費が惜しくて捨てられたのだろう、とおばちゃんは言う。

「うちにはもう2匹いたのよ。でもやっぱり可愛そうなんでね…」
人間の都合で捨てられ、心優しい飼い主に拾われたミニチュアダックス
彼はラッキーな犬だ。
翻って「まゆげ」はどうだろう?
彼の飼い主は、今は何をしているのだろう……

 

 

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完全に虚脱状態

 

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どちらも同じイヌ